About
コンセプト
大地から湯が湧きだし、窪みに溜まる。それは誰のものでもない。
人はそれを慈しみ、自発的に守り維持する。
そして、ここに住む人も旅する人も、男も女も、服を脱ぎ、湯につかり、
国籍も宗教も関係なく、武器も持たずに丸裸で、
それぞれの人生のあるときを共有する。
しかし、つかりつづければ頭がのぼせ、誰もそのままではいられない。
入れ替わり湯から上がり、三々五々、ここを去っていく。
人は必ずここを立ち去り、再び訪れる。ゆるやかな循環。
テーマ
「世界は不思議に満ちている」
口当たりの良い分かりやすさばかりが求められますます均質化する現代において、アーティストは世界の根源的な謎を提示し、我々の無限の想像力を解放し続けています。外国人の居住率が日本で最も高く、古くから多くの多様な文化を受け入れてきた別府。独自の歴史をたどってきたこの場を舞台に、特徴のあるプロジェクトを展開します。
ディレクターメッセージ
別府は魔術的な港町です。不思議への扉がところどころにあって、それが開いているときもあれば閉じているときもある。
そのような場所への敬意を込めて、今回はソフォクレスの「アンティゴネー」でコロスが謳う「世界は不思議に満ちている」という一節を引用しました。
ではなんで、ここにそんな言葉で説明のできない不思議が現れるのか?それはおそらく、このまちが湯の上に浮かんでいるからです。
男もいる。女もいる。さまざまな国籍の、子どもも大人も老人も、金持ちもそうでない人も、みんながここで、湯の上に暮らしている。港だから人が行き交う。一夜しかいない人。3年を過ごす人。5年いて、ここを出て、長い旅のあとに再び戻ってくる人。人生のすべてをここで過ごし、去っていく人。湯がすべての違いを飲み込んでいきます。不可解なもの、不条理なもの、説明のつかないもの、そんな現代社会が捨ててきたもの、捨ててこようとしてきたものも、湯は平然と飲み込んでここに生かし続ける。
そんな別府に、3年に一度、アーティストの力を借りて、かりそめの混浴温泉世界が現れます。
2009年以来、「混浴温泉世界」ではこの魅力的な土地を自分の足で歩くことを重視してきました。今回はそれを徹底させ、「アートゲートクルーズ」と「ベップ・秘密のナイトダンスツアー」という、ふたつのツアーを中心に組み立てました。「アートゲートクルーズ」は4人のアーティストのそれぞれの世界へと通じる門、アートゲートを巡る旅です。一方、「ベップ・秘密のナイトダンスツアー」は夜の街角で展開するさまざまなダンスを巡る旅。ともにガイドに導かれ、不思議のまちの奥深くに潜入していきます。
そのほかにも2009年の「混浴温泉世界」に出現した「わくわく混浴アパートメント」の発展形である「わくわく混浴デパートメント」や「永久別府劇場・恐怖の館」といった、あらゆる年齢層が楽しめるプロジェクトも用意しました。「混浴温泉ラウンジ」など夜のプログラムも帰ってきます。
心の衣服をすべて脱ぎ去って、夏の夜の夢のような世界に彷徨い込んでみてください。
総合ディレクター 芹沢高志
開催概要
主催:別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」実行委員会
共催:ASIA center JAPAN FOUNDATION
名称:別府現代芸術フェスティバル2015「混浴温泉世界」
英語表記:Beppu Contemporary Art Festival 2015 ‘Mixed Bathing World’
日時:2015年7月18日(土)〜9月27日(日)
※定休日はプログラムごとに異なる
記念シンポジウムを7月18日(土)に開催
会場:大分県別府市内各所(中心市街地/鉄輪地区)
総合インフォメーションセンター:JR別府駅構内(平日11:00〜18:00
土日祝10:00〜18:00)
助成:
協賛:
後援:別府市、
協力:おおいたトイレンナーレ実行委員会
*五感に響け 新しい波 第17回大分県民芸術文化祭参加行事
(2015年6月11日現在)
実行委員会参画団体:大分県、
実行委員会監事:別府市旅館ホテル組合連合会、
実行委員長:中山欽吾(大分県立芸術文化短期大学 学長)
総合プロデューサー:山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT代表理事)
総合ディレクター:芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)
キュレーター:佐東範一(NPO法人 Japan Contemporary Dance Network代表)
広報:市川靖子